放射線・化学大学の物理で出てくる

吸収線量の単位 グレイ(Gy) の意味|基本単位で表すと m2s2

Gy=m2s2
次元 [L² T⁻²]
検算のポイント

答えが吸収線量なら、右辺の単位は Gy(= m2s2) になっているはず。ならなければ、どこかが間違っています。

このページでわかること
  • 吸収線量を言葉でどう言い表すか
  • その言葉を単位に置き換えると、なぜ Gy になるのか
  • Gy のいろいろな書き方と、その根拠になる公式

吸収線量とは? 言葉で意味をつかむ

吸収線量とは 物質 1 kg あたりが吸収した放射線のエネルギー。

言葉の式
吸収線量 = 吸収したエネルギー ÷ 物質の質量

言葉の式に出てくるそれぞれの言葉は、すでに単位がわかっている量です。言葉を単位に置き換えてみましょう。

言葉何の量か単位
吸収したエネルギーエネルギー・仕事・熱量J
物質の質量質量kg
[吸収線量] =J÷kg
   =Jkg
   =m2s2
   =Gy
グレイ(Gy)は、この組み合わせ Jkg に付けられた名前です。
物質 1 kg が 1 J のエネルギーを吸収したときの吸収線量が 1 Gy。

基本単位までたどる

言葉の式に出てきた量も、さらに言葉の式で分解できます。速度 → 加速度 → 力 → エネルギー・仕事・熱量 → 吸収線量 の順にたどると、すべて基本単位(m・kg・s・A・K・mol・cd)だけで表せます。

前提:速度・加速度・力・エネルギー・仕事・熱量の単位(知っていれば飛ばしてOK)

速さは「進んだ距離 ÷ かかった時間」。m を s で割って ms です。

[v] =m÷s=ms

加速度は「1秒あたりに速さがどれだけ変わるか」。速さの ms をさらに s で割るので ms2 になります。

[a] =ms÷s=ms2
力 — 運動方程式 F=ma

運動方程式 F = ma で、質量 kg と加速度 ms2 をかけると kg·ms2。この組み合わせに N(ニュートン)という名前がついています。

[F] =kg×ms2=kg·ms2=N

仕事は「力 × 動かした距離」。N に m をかけた N·m に、J(ジュール)という名前がついています。

[W] =N×m=N·m=kg·m2s2=J

吸収線量は「1 kg あたりに吸収したエネルギー」。J を kg で割った Jkg が Gy(グレイ)です。

[D] =J÷kg=Jkg=m2s2=Gy

Gy の別の書き方

同じ量でも、使う公式によって単位の見え方が変わります。どれも基本単位にすると一致します。

書き方根拠になる公式
Gy=Jkg吸収線量
D=Em
Gy=Sv等価線量
H=wRD

よくある間違い:同じ単位でも別の量

次の量は 吸収線量 と次元 [L² T⁻²] が同じです。単位が一致しても意味が違うことがあるので、検算のときは「何を表す量か」も確かめましょう。

吸収線量が出てくる公式

まとめ
  • 吸収線量とは、物質 1 kg あたりが吸収した放射線のエネルギー。
  • 言葉の式 吸収線量 = 吸収したエネルギー ÷ 物質の質量 を単位に置き換えると Jkg。
  • 基本単位だけで書くと m2s2。

練習問題:分子と分母を見きわめる

問題文には単位が書いてあります。計算はしなくてかまいません。どの単位が分子(上)に、どの単位が分母(下)に来るかだけを考えて選んでください。

問1吸収線量は「吸収したエネルギー ÷ 物質の質量」で求められます。「吸収したエネルギー」[J]、「物質の質量」[kg] のとき、吸収線量の単位はどれ?

答えと解説

正解:B Jkg

かける量(吸収したエネルギー)の単位が分子、割る量(物質の質量)の単位が分母に来ます。まとめると Jkg = Gy。

問2等価線量 H=wRD を使います。H 「等価線量」[Sv]、wR 「個数・無次元数」[単位なし] のとき、吸収線量 D の単位はどれ?

答えと解説

正解:B Sv

式を D について解くと D=HwR。分子・分母にそれぞれの単位を入れると Sv = Gy。

問3吸収線量 = 吸収したエネルギー ÷ 物質の質量 です。「吸収線量」[Gy]、「物質の質量」[kg] のとき、「吸収したエネルギー」の単位はどれ?

答えと解説

正解:A Gy·kg

言葉の式を「吸収したエネルギー」について解き直すと「吸収したエネルギー = 吸収線量 × 物質の質量」。単位を入れると Gy·kg = J。

次に読む:吸収線量を使って表される量