力学定番問題
静止した物体への弾性衝突(はね飛ばされる側の速さ)を、単位と代入で検算する
問題
なめらかな水平面上で、速さ v₀ で進む質量 m₁ の小球が、静止している質量 m₂ の小球に正面から弾性衝突した。衝突後の m₂ の速さ V を求めよ。
答え
答えが出たら、提出する前に2つの方法で確かめます。① 単位で式の形を確かめ、② 特別な値の代入で中身を確かめます。
① 答えの単位で確かめる
求めたいのは速度 。単位は 。
使う量の単位:
足し算・引き算でまとめた部分()は、中の項の単位がそろっているので、1つの量として扱えます。
[] ○ 一致
単位は で一致しました。ただし、これだけでは係数や符号、sin と cos の取り違えはわかりません。
② 特別な値を代入して確かめる
答えがすぐにわかる極端な場合を考え、式に代入して同じ結果になるかを確かめます。
1m₁ = m₂(同じ質量)○ 合う
式に代入すると
物理的には同じ質量の弾性衝突では速度が入れかわる(ビリヤードの玉)はず
2m₂ → ∞(重い壁にぶつかる)○ 合う
式に代入すると →
物理的には壁は動かないはず
3m₁ → ∞(とても重い球がぶつかる)○ 合う
式に代入すると →
物理的には重い球から見ると、軽い球は −v₀ で近づいてきて +v₀ ではね返る。地面から見ると 2v₀ になるはず
どの場合も、物理的に正しい結果になりました。単位と代入の両方を通った答えは、かなり信頼できます。
単位は合うのに間違っている答えを、代入で見抜く
ありがちな答え
[] ○ 一致
単位は合っているので、①だけでは見抜けません。そこで m₂ → ∞(重い壁にぶつかる) を代入すると、
m₂ → ∞ を代入すると V → 2v₀。壁が 2v₀ で飛んでいくことになります。なお、m₁ = m₂ ではこの誤答も V = v₀ になるので見抜けません。代入は1つだけでなく、2つ以上試すのが安全です。
この問題の検算のコツ
「同じ質量」「壁(無限に重い)」「無限に重い球」の3つは、衝突の問題で必ず使える代入です。
ほかの定番問題
粗い斜面をすべり下りる物体の加速度
代入:μ′ = 0/θ = 90°/θ = 0
アトウッドの器械(滑車につるした2つのおもり)の加速度
代入:m₁ = m₂/m₂ = 0/m₂ → ∞
水平な台の上の物体と、つるしたおもりの加速度
代入:m₁ = 0/m₂ = 0/m₁ → ∞
完全非弾性衝突(くっついた後の速さ)
代入:m₂ = 0/m₂ → ∞/m₁ = m₂
2本のばねを直列につないだときのばね定数
代入:k₂ → ∞/k₁ = k₂
斜方投射の水平到達距離
代入:θ = 0/θ = 90°/θ = 45°
よくある質問
- 弾性衝突後の速度の答えは?
- です。
- 答えが合っているか、どうやって確かめる?
- まず単位が になるかを確かめ、次に m₁ = m₂、m₂ → ∞、m₁ → ∞ のような特別な値を代入して、物理的に当然の結果になるかを確かめます。
- 単位が合っていれば正しい?
- いいえ。係数、符号、sin と cos の取り違えは単位では見つかりません。このページの「」のように、単位が合っていても間違っている答えは、代入で見抜きます。