電磁気高校物理・化学で出てくる

インダクタンスの単位 ヘンリー(H) の意味|基本単位で表すと kg·m2A2·s2

H=kg·m2A2·s2
次元 [M L² T⁻² I⁻²]
検算のポイント

答えがインダクタンスなら、右辺の単位は H(= kg·m2A2·s2) になっているはず。ならなければ、どこかが間違っています。

関連するミス例:ソレノイドの自己インダクタンスで n を2乗し忘れる

このページでわかること
  • インダクタンスを言葉でどう言い表すか
  • その言葉を単位に置き換えると、なぜ H になるのか
  • H のいろいろな書き方と、その根拠になる公式

インダクタンスとは? 言葉で意味をつかむ

インダクタンスとは 電流の変化を妨げる電圧の生じやすさ。1秒あたり 1 A 変化させたときに生じる電圧。

言葉の式
インダクタンス = 生じる電圧 × かかった時間 ÷ 電流の変化

言葉の式に出てくるそれぞれの言葉は、すでに単位がわかっている量です。言葉を単位に置き換えてみましょう。

言葉何の量か単位
生じる電圧電圧・電位V
かかった時間時間s
電流の変化電流A
[インダクタンス] =V×s÷A
   =V·sA
   =kg·m2A2·s2
   =H
ヘンリー(H)は、この組み合わせ V·sA に付けられた名前です。
電流を1秒あたり 1 A の割合で変化させたとき 1 V の電圧が生じるコイルのインダクタンスが 1 H。

基本単位までたどる

言葉の式に出てきた量も、さらに言葉の式で分解できます。速度 → 加速度 → 力 → エネルギー・仕事・熱量 → 電荷(電気量) → 電圧・電位 → インダクタンス の順にたどると、すべて基本単位(m・kg・s・A・K・mol・cd)だけで表せます。

前提:速度・加速度・力・エネルギー・仕事・熱量・電荷(電気量)の単位(知っていれば飛ばしてOK)

速さは「進んだ距離 ÷ かかった時間」。m を s で割って ms です。

[v] =m÷s=ms

加速度は「1秒あたりに速さがどれだけ変わるか」。速さの ms をさらに s で割るので ms2 になります。

[a] =ms÷s=ms2
力 — 運動方程式 F=ma

運動方程式 F = ma で、質量 kg と加速度 ms2 をかけると kg·ms2。この組み合わせに N(ニュートン)という名前がついています。

[F] =kg×ms2=kg·ms2=N

仕事は「力 × 動かした距離」。N に m をかけた N·m に、J(ジュール)という名前がついています。

[W] =N×m=N·m=kg·m2s2=J

電荷は「電流 × 流れた時間」。A に s をかけた A·s が C(クーロン)です。

[q] =A×s=A·s=C

電圧は「1 C の電荷が2点の間を移動するときに得るエネルギー」。W = qV を V について解いて JC。これが V(ボルト)です。

[V] =J÷C=JC=kg·m2A·s3=V

自己誘導 V=L·ΔIΔt から L=V·ΔtΔI。V × s ÷ A の V·sA が H(ヘンリー)です。

[L] =V×s÷A=V·sA=kg·m2A2·s2=H

H の別の書き方

同じ量でも、使う公式によって単位の見え方が変わります。どれも基本単位にすると一致します。

書き方根拠になる公式
H=V·sA自己誘導
V=LΔIΔt
H=WbA磁束とインダクタンス
Φ=LI
H=JA2コイルのエネルギー
U=12LI2
H=s·ΩRL回路の時定数
τ=LR

インダクタンスが出てくる公式

まとめ
  • インダクタンスとは、電流の変化を妨げる電圧の生じやすさ。1秒あたり 1 A 変化させたときに生じる電圧。
  • 言葉の式 インダクタンス = 生じる電圧 × かかった時間 ÷ 電流の変化 を単位に置き換えると V·sA。
  • 基本単位だけで書くと kg·m2A2·s2。

練習問題:分子と分母を見きわめる

問題文には単位が書いてあります。計算はしなくてかまいません。どの単位が分子(上)に、どの単位が分母(下)に来るかだけを考えて選んでください。

問1インダクタンスは「生じる電圧 × かかった時間 ÷ 電流の変化」で求められます。「生じる電圧」[V]、「かかった時間」[s]、「電流の変化」[A] のとき、インダクタンスの単位はどれ?

答えと解説

正解:A V·sA

かける量(生じる電圧・かかった時間)の単位が分子、割る量(電流の変化)の単位が分母に来ます。まとめると V·sA = H。

問2磁束とインダクタンス Φ=LI を使います。Φ 「磁束」[Wb]、I 「電流」[A] のとき、インダクタンス L の単位はどれ?

答えと解説

正解:C WbA

式を L について解くと L=ΦI。分子・分母にそれぞれの単位を入れると WbA = H。

問3インダクタンス = 生じる電圧 × かかった時間 ÷ 電流の変化 です。「インダクタンス」[H]、「かかった時間」[s]、「電流の変化」[A] のとき、「生じる電圧」の単位はどれ?

答えと解説

正解:D H·As

言葉の式を「生じる電圧」について解き直すと「生じる電圧 = インダクタンス × 電流の変化 ÷ かかった時間」。単位を入れると H·As = V。

次に読む:インダクタンスを使って表される量