単位の読み方:言葉の意味から単位を組み立てる

物理の単位は、暗記するものではなく「その量を言葉で言い表したもの」を記号に置き換えたものです。このページでは、言葉から単位を組み立てる方法と、次元解析の使い方を説明します。

このページでわかること
  • 量の意味を表す言葉が、どのように単位の記号に置き換わるか
  • 7つの基本単位と、名前のついた単位の意味
  • 次元解析で、式の検算や公式の推測をする方法

1. 単位は「言葉の式」から生まれる

たとえば速さは「1秒あたりに進む距離」、つまり「進んだ距離 ÷ かかった時間」です。言葉をそれぞれの単位に置き換えると、

言葉の式
速さ = 進んだ距離 ÷ かかった時間
[速さ] =m÷s=ms

となり、速さの単位 ms がそのまま出てきます。どんなに難しそうな単位も、同じやり方で組み立てられます。

言葉と記号の対応

言葉記号例
「〜あたり」「1〜につき」÷(分数の横線)1秒あたりに進む距離 → ms
「〜と〜の積」「〜をかけた」×(·)力 × 距離 → N·m
「〜の2乗」「〜の3乗」² ³長さ × 長さ → m²
「〜の逆数」「1回にかかる時間をひっくり返す」⁻¹周期の逆数 → s⁻¹ = Hz
「〜は〜の何倍か」「〜の比」÷(単位が消える)弧の長さ ÷ 半径 → mm=1

2. 7つの基本単位

SI(国際単位系)では、次の7つが基本単位です。ほかのすべての単位は、この7つのかけ算・わり算で作られています。

記号名前量どう決められているか
mメートル長さ光が真空中を、ある決まったごく短い時間に進む距離をもとに決められている。
kgキログラム質量プランク定数の値を決めることで、質量の基準が決められている。
s秒時間セシウム原子が出す電磁波が、決まった回数だけ振動する時間として決められている。
Aアンペア電流電気素量(電子1個の電荷の大きさ)をもとに、1秒あたりに流れる電荷の量として決められている。
Kケルビン温度(熱力学温度)ボルツマン定数をもとに、温度とエネルギーを結びつけて決められている。
molモル物質量アボガドロ定数個の粒子をひとまとまりとして決められている。
cdカンデラ光度ある決まった振動数の光が、ある方向へどれだけの明るさで出ているかで決められている。

3. 名前のついた単位

よく使う組み合わせには名前がついています。名前のついた単位も、言葉の意味を読めば中身がわかります。

記号量言葉での意味基本単位
rad角度(平面角)弧の長さが半径と等しくなるときの角度が 1 rad。1(無次元)
sr立体角球面上で、半径の2乗と等しい面積を切り取るときの立体角が 1 sr。1(無次元)
Hz振動数・周波数1秒に1回繰り返すときの振動数が 1 Hz。1s
N力1 kg の物体に 1ms2 の加速度を生じさせる力が 1 N。kg·ms2
Pa圧力1 m² の面を 1 N の力で垂直に押すときの圧力が 1 Pa。kgm·s2
Jエネルギー・仕事・熱量1 N の力で物体を力の向きに 1 m 動かしたときの仕事が 1 J。kg·m2s2
W仕事率・電力1秒あたりに 1 J の仕事をするときの仕事率が 1 W。kg·m2s3
C電荷(電気量)1 A の電流が 1 秒間流れたときに運ばれる電荷が 1 C。A·s
V電圧・電位1 C の電荷が 1 J のエネルギーを得る(失う)ときの電圧が 1 V。kg·m2A·s3
F静電容量1 V の電圧をかけたとき 1 C の電荷をためるコンデンサーの静電容量が 1 F。A2·s4kg·m2
Ω電気抵抗1 V の電圧をかけたとき 1 A の電流が流れるときの抵抗が 1 Ω。kg·m2A2·s3
Sコンダクタンス1 V の電圧をかけたとき 1 A の電流が流れるときのコンダクタンスが 1 S。A2·s3kg·m2
Wb磁束1巻きのコイルを貫く磁束が、1秒あたり 1 Wb の割合で変化すると、コイルに 1 V の電圧が生じる。kg·m2A·s2
T磁束密度1 m² の面を 1 Wb の磁束が垂直に貫くときの磁束密度が 1 T。kgA·s2
Hインダクタンス電流を1秒あたり 1 A の割合で変化させたとき 1 V の電圧が生じるコイルのインダクタンスが 1 H。kg·m2A2·s2
lm光束1 cd の光度の光源が、1 sr の立体角に出す光束が 1 lm。cd
lx照度1 m² の面に 1 lm の光束が当たるときの照度が 1 lx。cdm2
Bq放射能1秒あたりに1個の原子核が崩壊するときの放射能が 1 Bq。1s
Gy吸収線量物質 1 kg が 1 J のエネルギーを吸収したときの吸収線量が 1 Gy。m2s2
Sv等価線量吸収線量に放射線の重みをかけた等価線量の単位。次元は Jkg で Gy と同じ。m2s2
kat触媒活性1秒あたりに 1 mol の物質を変化させる触媒の活性が 1 kat。mols

4. 知っている公式を使って分解する

知らない単位が出てきたら、その量が出てくる「知っている公式」を探し、その量について解きます。 たとえば電圧 V を知らなくても、電力の式 P = IV を知っていれば、

V=PI → [V] =WA=kg·m2s3A=kg·m2A·s3

と分解できます。W(ワット)がわからなければ、さらに P=Wt、W = Fx、F = ma とたどればよいのです。

5. 両辺の単位が一致するか確かめる

正しい公式では、左辺と右辺の単位が必ず一致します。たとえば運動エネルギー K=12mv2 では、

左辺 [K] =J=kg·m2s2
右辺 [mv2] =kg×(ms)2=kg·m2s2 一致

12 のような係数は単なる数で単位をもたないので、次元解析では無視してかまいません。 単位が合わなければ、式のどこかが間違っています。

6. 単位が同じでも、同じ量とは限らない

トルク(N·m)とエネルギー(J)は基本単位にするとどちらも kg·m2s2 です。 ヘルツ(Hz)とベクレル(Bq)もどちらも s⁻¹ です。次元解析は式の検算に強力ですが、 次元が同じだからといって同じ意味の量とは限らない点には注意しましょう。

7. 単位から公式を推測する

単位の組み合わせから、式の形を推測することもできます。たとえば単振り子の周期 T が、ひもの長さ l [m] と 重力加速度 g [ms2] だけで決まるとすると、秒 s をつくる組み合わせは

lg → m÷ms2=s2=s

しかありません。実際の公式 T=2πlg と、係数 2π を除いて一致します。

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